健康な地域環境づくりには、様々な部署や組織との連携が不可欠です。
連携のための会議の際のコミュニケーションを円滑に行うための「テクニック」を集めたリーフレットを作成しました。
下記ページより無料でダウンロードできます。ぜひご活用ください。
日本老年学的評価研究ウェブサイト内: http://www.jages.net/#!about-3/c1qza
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昨年12月に出版した以下の論文のアクセス数が500超と高くなっています。
東京近郊の自治体の若い夫婦へのインタビュー調査のデータをもとに、パートナーが禁煙すると、自分も禁煙するか否かを分析した結果、男性では、女性のパートナーが禁煙すると自分も禁煙する確率がぐっと高まるのですが、そのような関係は女性の場合、2人とも高学歴の場合のみ当てはまることがわかりました。
学歴は、健康リテラシー(健康に関する周囲からの情報等を的確に選び取って、解釈し、活用する力)を反映します。夫婦で禁煙を進めるような禁煙指導が、病院などではよく行われます。そういうとき、学歴などの情報も役立つかもしれません。
論文ウェブサイト:http://www.biomedcentral.com/1471-2458/14/1184
Differences in spousal influence on smoking cessation by gender and education among Japanese couples
Daisuke Takagi, Naoki Kondo, Misato Takada and Hideki Hashimoto
BMC Public Health 2014, 14:1184 doi:10.1186/1471-2458-14-1184
Abstract
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Background
Previous studies have reported that spousal non-smoking has a spillover effect on the partner’s cessation. However, discussion is lacking on the factors modifying that association. We examined whether the spillover effect of spousal non-smoking was associated with the couple’s educational attainment.
Methods
We used paired marital data from the Japanese Study on Stratification, Health, Income, and Neighborhood (J-SHINE), which targeted residents aged 25–50 years in four Japanese municipalities. We selected a spouse smoker at the time of marriage (target respondent), and set his/her smoking status change (continued or quit smoking after marriage) as an outcome, regressed on the counterpart’s smoking status (continued smoking or non-smoking) and combinations of each couple’s educational attainment as explanatory variables using log-binomial regression models (n =1001 targets; 708 men and 293 women).
Results
Regression results showed that a counterpart who previously quit smoking or was a never-smoker was associated with the target male spouse’s subsequent cessation. However, for women, the association between husband’s non-smoking and their own cessation was significant only for couples in which both spouses were highly educated.
Conclusions
Our findings suggest that a spouse’s smoking status is important for smoking cessation interventions in men. For women, however, a couple’s combined educational attainment may matter in the interventions.
3月13日金曜日に、陸前高田市役所で開催された「第52回陸前高田市保健医療福祉未来図会議」にて、調査の実施と分析のお手伝いをしていた陸前高田市健康生活調査の分析結果を報告しました。
被災後の居住地区別に、被災前後の病気の状況の変化を観察したところ、被害が特に大きかった高田町で、心疾患、高血圧症、糖尿病、精神疾患のすべてで、被災直後に比べ、1~2年後の有病率が有意に増加していました。興味深いことに、同じ程度の被災の程度であった気仙町では、このような疾病の増加は見られませんでした。地域の結束が強く、仮設住宅にも同じ集落同士で一緒に入居したといった気仙町の特徴が、被害による健康リスクを緩和しているのかもしれない、という意見が出ました。
また、買い物環境(小売店・移動販売の立ち寄り所・買い物バスの停留所)までの道路上の距離が長いほど、高齢者では閉じこもり(ほとんど外出しない状態)が増えることがわかりました。
仮設住宅の住民に対して、農園作業を通じて住民同士のつながりを増やし、健康維持を狙いとした「はまらっせん農園」の参加者とそうでない人とを比べたところ、参加者は参加していない人に比べて半年後の骨密度が相対的に上昇していること、また、生きがい感なども上昇していることがわかりました。
調査票や調査のデザインからかかわらせていただき、昨年秋~冬に実施した第4回健康生活調査では、自身で費用を負担して自宅を再建した人々と小規模な仮設住宅に住んでいる人々に聞き取り調査をしました。集まったデータを分析したところ、自力で再建した方々は小規模な仮設住宅に住んでいる方方よりも、総じて精神的・身体的な健康状態がよいことがわかりました。一方で、自力で自宅を再建した人々のほうが平均すると近所づきあいを多くしている一方で、自宅に閉じこもっている人たちも5%程度と、小規模な仮設住宅居住者よりも多く、自力で自宅を再建した方々の場合、地域との交流状況が二極化している可能性が示されました。
このように、仮設住宅などでの避難生活が長期化している東日本大震災では、避難生活をしている人も、再建して自宅で生活している人にも、社会的な交流やそのための(交通などの)移動手段の整備が重要であることがデータ上も示されました。
発表スライドはこちらからダウンロードできます:
(未来図会議ウェブサイト)http://healthpromotion.a.la9.jp/saigai/rikuzentakata.html
所得格差が拡大すると、自身の所得水準は変わらなくても、より高所得な人との所得の差が拡大します。それに応じて、みじめさやねたみ、あきらめといった負の感情を持つ機会も増えます。
高齢者3.3万人を長期間追跡している愛知老年学的評価研究(AGES、JAGES研究の一部)のデータを分析したところ、グループ内のうち、自分よりお金持ちの人と自分の所得との差の平均値が大きい(グループ内の相対的はく奪度)人ほど、自分の所得水準にかかわらず、その後循環器疾患(心臓病や脳卒中)で死亡するリスクが高まることがわかりました。
一方、がんや呼吸器疾患など、その他の原因による死亡とは統計的に有意な関連がみられませんでした。さらに、このような関係は男性でのみ観察されました。
以前より、所得格差が大きな社会では誰もが(富裕層ですら)不健康になる可能性が知られていますが、本研究結果は、その理由として、格差が大きな社会では周囲との生活水準の違いが強いストレスとなって、ストレスによって影響を受けやすい心臓や脳血管の病気による死亡のリスクを上げる、というメカニズムが関連している可能性を示唆するものです。
この結果は、英国の専門誌Journal of Epidemiology and Community Healthから出版されました:
論文はここから無料でダウンロードできます。
http://jech.bmj.com/content/early/2015/02/19/jech-2014-205103.full
2月15日に行われるシンポジウムに登壇します。
参加お申込み・詳細はこちら:http://www.jages.net/
研究者向けシンポジウムのお知らせ
”Social capital and Health in disaster-toward restoration”
災害下のソーシャル・キャピタルと健康ー復興に向けて
開催日時:2015年2月15日(日) 13:00~17:00
場所:東京国際フォーラム ホールD7(7階) アクセス ※受付は6階です.ご注意ください.
挨 拶 近藤 克則 (千葉大学予防医学センター・教授)
講 演 災害下のソーシャル・キャピタルと健康 Ichiro Kawachi (ハーバード大学公衆衛生大学院・教授)
報 告
1.災害復興に向けたソーシャル・キャピタル醸成のための環境整備 近藤 尚己 (東京大学大学院医学系研究科・准教授)
2.東日本大震災後の健康とソーシャルキャピタル 相田 潤 (東北大学大学院歯学研究科・准教授)
3.東日本大震災被災地における地域の結びつきとPTSD 引地 博之 (千葉大学予防医学センター・特任助教)
4.災害とソーシャルキャピタル:実験経済学・行動経済学の見地から 澤田 康幸 (東京大学大学経済学研究科・教授)
17:30~ 懇親会 ※事前振込制,申込みフォームをご参照ください
参加のお申し込みはこちらからどうぞ。
http://www.jages.net/
統計数理研究所が主催するシンポジウムに登壇します。
詳細: http://noe.ism.ac.jp/risk/files/2015/01/riskprogram_20150319ls.pdf
Journal of Epidemiology 編集委員に聞く! ~いい論文を書くには~
1月21日名古屋で行われる日本疫学会学術総会の関連企画「Journal of Epidemiology 編集委員に聞く! ~いい論文を書くには~」に演者として登壇します。
日時 | 2015年1月21日(水) 18:00~20:00 |
場所 | ウインクあいち・小ホール |
参加費 | 無料(年齢、会員・非会員問わず、どなたでもご参加いただけます) |
演者 | ・井上真奈美先生(JE編集委員長・東京大学) ・松尾恵太郎先生(JE副編集委員長・九州大学) ・近藤尚己先生(JE編集委員・東京大学) ・浅尾啓子先生(University of Tennessee Health Science Center) |
内容 | ・論文査読、採否の仕組み(どうしたら”通る”論文が書ける?! ・たくさん論文を書いている人のお仕事術(どうしたらたくさん書ける?) ・総合討論 |
司会 | 伊藤ゆり(大阪府立成人病センター) |
詳細 | こちらをご覧ください(PDF) |
研究結果が読売新聞で紹介されました。
記事リンク: http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=110003
2011年の東日本大震災の津波で大きな被害を受けた岩手県陸前高田市では、同市が実施した調査データを分析したところ、小売店やバス停、移動販売などが行われる場所までの距離が遠い自宅に住んでいる高齢者ほど、外出頻度が少なく「閉じこもり」になりやすいことがわかりました。
一方で、一部の地域では、震災後、地元スーパーなどが開始した買い物バス等により、買い物環境までのアクセスが大幅に緩和しているケースも見られました。災害復興における、官民のパートナーシップが良い効果を生み出している事例といえるかもしれません。
復興住宅の建設が進むなど、コミュニティの再生が正念場を迎えています。新たな地域環境の整備を進める際の参考になればと思います。
論文は、15日に老年学の最高峰のひとつである英国のAge and Ageing誌から出版されました。
日本老年学的評価研究 高齢者の社会参加状況を調査し、その後の要介護の発生を観察しました。ボランティアやスポーツ関係、老人クラブなどのグループに参加しいること、さらにその中で世話役などをするなど、積極区的に参加しているほど自立した生活を長く営めることがわかりました。