保健・医療・介護・福祉分野における「社会的インパクト評価学講座」が設立されました。
2024年11月1日に「社会的インパクト評価学講座」(寄附講座)が設置されました。ご寄附をいただいた各団体の皆様に心より御礼申し上げます。
今後ウェブサイト等により情報発信をしていきます。
目的:社会的処方や地域包括ケアシステムなど、共生社会の実現に向けた分野を超えた連携に基づくまちづくり活動を推進し、その多面的な社会的インパクトの評価を進めることで、社会的インパクト投資の推進を学術面から支援すること。
設立機関: 2024年11月1日から2029年10月31日(5年間)
予算規模:年間約3500万円
体 制: 准教授2名、特定助教1名、非常勤研究員1名、事務職員1名
協力講座:国際保健学講座(社会疫学分野):(主任:近藤尚己)
寄附者 :
・全日本民主医療機関連合近畿地域協議会に加盟する6府県(大阪・京都・滋賀・兵庫・奈良・和歌山)の連合会
・阪急阪神ホールディングズ
・福岡民主医療機関連合会
さらなるご寄附を受け付けています。お問い合わせフォームからご連絡ください。
<構成員(11月1日現在)>
高木大資 特定准教授・講座主任
近藤克則 非常勤研究員
近藤桂 支援職員
研究活動例
- 保健医療・介護・福祉に関するコレクティブ・インパクトのある活動モデルの開発
【活動例】
- 医療機関における社会的処方やヘルスプロモーションの活動
- 伝統文化やアート、その他の多様な自己表現の機会づくり
- 地域における生活困窮者支援の活動
- アプリを用いた健康づくりや生活支援プログラム
- 事業所における健康経営プログラム
- 地域包括ケアや地域共生社会推進に関する自治体のシステム
- これら諸活動の多面的効果の検証
- PFS (Pay for Success)や社会的インパクト投資(Social Impact Bond:SIB)に基づくサービスの効果評価
- プログラム開発・効果評価・効果的な運用のためのツールの開発等
- PFSやSIBを活用に関連する政策の研究
以下は寄附募集期間中に「寄附講座設立準備室」にて公表していた情報です。
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世界のあらゆる活動やサービスには多面的な効果があります。例えば、医療や健康づくりの取り組みには、人々を健康にすることを通じて、労働生産性を高める、経済活動を活発にする、地球環境への負荷を減らすといった多面的な社会的インパクトを発生させることが想定できます。また、労働環境や雇用制度、自然環境、文化活動状況など、通常、健康づくりを直接促す要因とはみなされていない環境要因も、生活環境への影響を通じて健康に大きく影響することが知られています。したがって、これらの環境を改善する取り組みは人々の健康やウェルビーイングに貢献している可能性があります。
例えば、医療や介護、福祉の分野では、地域社会とのつながりの場を活用した多面的な健康やウェルビーイングの向上を目指す「社会的処方」の取り組みが広がっています。地域社会では、高齢者や子どもが安心して過ごせる「通いの場」や「こども食堂・みんな食堂」の取り組みや、伝統文化やアートを通じた取り組み、そしてごみのリサイクル活動等の地球環境保護の取り組みを通じたコミュニティの活性化を目指す活動等が大きな広がりを見せています。こういった地域の取り組みを支援すべく、自治体との幅広い連携を進めることで、健康や社会的つながり、地域創成といった多面的な価値の創造を目指す企業活動が広がっています。ところが、多様な活動やサービスがもたらし得る様々な社会的インパクトの多くは数値化されていないために、取り組みに関与する組織やその取り組みの価値は過小評価されていたり、その価値にすら気づかれていない場合も多いのが現状です。
一方、上記のような多様な「社会的インパクト」への関心自体は高まっており、社会的インパクト投資市場の形成が進んできています。産官学民が連携して、分野を超えたトータルのインパクト(コレクティブ・インパクト[1])を高めることを目指した社会サービスを創成しようという動きが高まっております。インパクト投資の世界全体での市場規模は4,040億ドル[2]で、国内でも13,204億円と、2017年度の718億円から5年間で18倍以上に増加しています[3]。内閣府も「コレクティブ・インパクト」の海外事例を収集し、成果連動型民間委託契約方式(PFS:Pay For Success)の推進に向けてPFSアクションプランを公表するなど政府の積極的な関与も見受けられるようになりました[4]。
内閣府も「社会的インパクト評価について」情報収集を進めていますが、日本では社会的インパクト評価研究の蓄積が遅れており、内閣府は「データの捕捉・共有と、データに基づく取組の改善が重要であり、そのために研究者が関与することも有効であるとしています4。そこで、上記「PFSアクションプラン」の分野別取り組みの筆頭に掲げられている保健医療、介護、そして福祉の分野における社会的インパクト投資の推進に必要な評価研究の蓄積を図るため、関連する分野で実績のある京都大学大学院医学研究科に寄附講座「社会的インパクト評価学講座」の設置の検討を開始いたしました。
ついては企業の皆様に本講座設置・運営の為の寄附をお願いしたいと存じます。ご質問、ご関心等ございましたら、下記までご連絡頂戴できますと幸いです。
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[1] 行政や企業、NPOや自治体など、多様な傘下組織が、それぞれの枠組みを超えて協働し、さまざまな社会課題の解決に取り組むことでえられる集合的(Collective)なインパクトのこと
[2] 2020年のデータ。インパクト投資に関する世界的なネットワークであるGIIN のレポート
[3] 2021年度のデータ。一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)/GSG国内諮問委員会事務局(2021)「日本におけるインパクト投資残高(推計)の推移 」による。
[4] 内閣府「社会課題の解決における成果最大化に向けた協働の海外事例調査」
設置予定講座の規模、体制など
設立時期 2024年度中
金額 年間5000万円 (人件費・事務経費・研究費)
期間 5年間
体制 特定准教授(講座主任)2名、特定助教1名、研究員(教授相当)1名、事務職員1名
研究活動内容例
- 保健医療・介護・福祉に関するコレクティブ・インパクトのある活動モデルの開発
【活動例】
- 医療機関における社会的処方やヘルスプロモーションの活動
- 伝統文化やアート、その他の多様な自己表現の機会づくり
- 地域における生活困窮者支援の活動
- アプリを用いた健康づくりや生活支援プログラム
- 事業所における健康経営プログラム
- 地域包括ケアや地域共生社会推進に関する自治体のシステム
- これら諸活動の多面的効果の検証
- PFSや社会的インパクト投資(Social Impact Bond:SIB)に基づくサービスの効果評価
- プログラム開発・効果評価・効果的な運用のためのツールの開発等
- PFSやSIBを活用に関連する政策の研究
連絡先 京都大学社会疫学分野のお問い合わせフォームからご連絡ください。
配布用資料:京都大学大学院医学研究科寄付講座 保健・医療・介護・福祉分野における「社会的インパクト評価学講座」設置検討について
また、本寄付講座設立にかかわらず、本研究室の活動にご賛同いただき、資金面で応援していただける方々をお待ちしております。お問い合わせフォームよりご連絡ください。