日本の健康格差:医療者は何をすべきか

日曜日に京都大学で開かれる米国内科学会日本支部の総会でお話します。英語と書いてありますが、日本語で話します。適宜英語で補足します。スライドは英語です。
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2-1-1 英語 日本の健康格差:医療者は何をすべきか/Health disparity in Japan: What should medical practitioners do?
近藤 尚己・Wayne J. Riley, MD
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http://acp2016.org/
http://acp2016.org/pdf/flyer.pdf

笑いと病気との関係の研究成果が多方面で取り上げられています!

先日発表した、笑いの頻度と脳卒中などの病気との関連に関する論文の内容が、テレビ等の各メディアで数多く取り上げられているようです。

たくさん笑っている人ほど病気の人が少なかった、という関連を示したものであり、笑いの頻度を増やすと病気をしなくなる、というところまでを明らかにしたものではありません。

とはいえたくさん笑って不健康になる、ということも考えにくいと思います。

笑いたくても笑えない、笑う機会が少ない、という方々もいると思います。笑いの機会が増えるような地域の環境の工夫を考えて行きたいものです。

主な報道
http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000070457.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160315-00010002-yomidr-hlth
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00318689.html

報道: 笑いが少ない人は脳卒中などが多い

フジテレビ系列のニュースで、研究成果が報道されました。

笑いと脳や心臓の病気との関連があることが示された、という内容です。たくさん笑うと、その後それらの病気になりにくくなるか、という「因果関係」を示していない点にご注意ください。

報道内容は以下です。

http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00318689.html
「笑い」と脳卒中についての論文が発表された。
東京大学の研究チームは、日常生活で「ほとんど笑わない」高齢者は、「毎日笑う高齢者」に比べて、脳卒中を発症した人の割合が、1.6倍に増えるという論文を発表した。
65歳以上の高齢者およそ2万人を調査したところ、「ほとんど笑わない」と回答した人は、「ほぼ毎日笑う」と答えた人に比べ、脳卒中を発症した人の割合が1.6倍に、心疾患では1.2倍に増えるという。

なお、本研究は東京大学医学部医学科の林慧さんやハーバード大学のカワチ・イチロウ教授、教授福島県立医大の大平哲也教授、琉球大学の白井こころ准教授千葉大学の近藤勝則教授らとの共同執筆論文です。
論文は本日13日、疫学の国際専門誌Journal of Epidemiologyから出版されました。以下からダウンロードできます。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jea/advpub/0/advpub_JE20150196/_article
Title: Laughter is the Best Medicine? A Cross-Sectional Study of Cardiovascular Disease Among Older Japanese Adults

Authors:

Kei Hayashi
Ichiro Kawachi
Tetsuya Ohira
Katsunori Kondo
Kokoro Shirai
Naoki Kondo
Background: We sought to evaluate the associations between frequency of daily laughter with heart disease and stroke among community-dwelling older Japanese women and men.

Methods: We analyzed cross-sectional data in 20 934 individuals (10 206 men and 10 728 women) aged 65 years or older, who participated in the Japan Gerontological Evaluation Study in 2013. In the mail-in survey, participants provided information on daily frequency of laughter, as well as body mass index, demographic and lifestyle factors, and diagnoses of cardiovascular disease, hyperlipidemia, hypertension, and depression.

Results: Even after adjustment for hyperlipidemia, hypertension, depression, body mass index, and other risk factors, the prevalence of heart diseases among those who never or almost never laughed was 1.21 (95% CI, −1.03–1.41) times higher than those who reported laughing every day. The adjusted prevalence ratio for stroke was 1.60 (95% CI, 1.24–2.06).

Conclusions: Daily frequency of laughter is associated with lower prevalence of cardiovascular diseases. The association could not be explained by confounding factors, such as depressive symptoms.

特任研究員募集

東京大学大学院医学系研究科

公共健康医学専攻 健康教育・社会学分野

特任研究員 募集要項

 

身分:         特任研究員(短時間勤務有期雇用教職員)

採用人数:      1名

採用予定日:    手続き終了次第

契約期間:      採用日より2017年3月31日

勤務地:        東京都文京区本郷7-3-1 医学部3号館3階 

健康教育・社会学分野/保健社会行動学分野研究室

勤務内容:      社会疫学やその関連領域に関する研究の遂行。主に、当教室が扱うデータを利用し、その解析結果に基づき論文執筆をしてもらいます。また、本教室が行っている研究の業務(追跡対象者や協力機関との連絡・調整など)の一部を担ってもらいます。

資格・条件:    博士学位、ないし取得の見込みがあるもの。疫学関連の統計処理(SAS, STATA, R等)技能を持ち、社会疫学やその関連領域においてデータを用いた実証研究を行った経験があり、かつ筆頭著者の英文原著論文がある者。

就業時間:      週3日以上5日以下(1日6 時間以上)で相談応需

休日:                 土日祝日、なお研究の遂行状況によっては休日出勤・代替休暇の取得を御願いすることもある

給与;          年齢・経験・技能に応じ、時給1,614円~2,124円

通勤手当:      支給要件を満たした場合、実費相当額を支給(上限あり)

社会保険など:  社会保険、雇用保険(法令の定めるところにより加入)

応募方法:      電子メールか郵送。履歴書(写真添付)・業績一覧とこれまでに執筆した論稿・論文のうち代表的なものについてひとつ別刷り(メールでの応募の場合PDFなど)をkondolab[at]m.u-tokyo.ac.jpまでメールするか、これらを同封し下記へ郵送のこと。

履歴書の形式は問いません。

参考:東京大学統一様式:ダウンロードhttp://www.u-tokyo.ac.jp/per01/r01_j.html)

申し込み先:   〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1

(郵送時)    東京大学医学部3号館3階 健康教育・社会学分野 近藤尚己あて

問い合わせ:   kondolab[at]m.u-tokyo.ac.jp

応募締め切り:  2016年2月10日、書類による一次選考のうえ、合格者に対し面接を実施します(面接の際の交通費は支給しません)。該当者が見つかり次第締め切ります。

その他:        応募の秘密は厳守し、取得した個人情報は採用選考の目的以外には使用しません。また応募書類は返却いたしませんが、返却を希望される場合には返信用封筒を同封してください。

 

新聞で取り上げられました。<高齢者うつ>回復の決め手、やはり「人とのつながり」

所属する研究チームの成果が毎日新聞に取り上げられました。

超高齢社会の日本で増加が心配されているうつ状態の高齢者のうち、地元への愛着が強かったり、趣味のグループ活動に参加したりする人はうつ状態から回復しやすいとの研究成果を、千葉大などのグループがまとめた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160109-00000018-mai-soci

本教室の大学院生4名が受賞!2015年日本疫学会一般の方向けスライドショーコンテスト

日本を代表する疫学関係の学会:日本疫学会が実施した「2015年日本疫学会一般の方向けスライドショーコンテスト」に本教室の大学院修士課程4名が作成した応募して、最優秀賞をいただきました。

社会疫学の挑戦 ー社会と健康を科学するー 因果関係を考えよう! (ppt:1.31MB)
小林三奈美 芝孝一郎 橋本直也 平川亜耶佳
(東京大学医学系研究科 公共健康医学専攻 保健社会行動学分野)
ダウンロードサイト http://jeaweb.jp/activities/about_epi-research.html

社会疫学の研究について、平易な言葉とわかりやすいイラストで描かれています。ぜひ一度ご覧ください。

協力自治体の熊本県御船町が「第 4 回健康寿命をのばそう!アワード」受賞

厚生労働省プレスリリース:
https://prw.kyodonews.jp/prwfile/release/M102068/201511165661/_prw_OR1fl_j07lEb6g.pdf
https://prw.kyodonews.jp/opn/release/201511165661/

御船町のお知らせ記事:
http://portal.kumamoto-net.ne.jp/town_mifune/life/pub/detail.aspc_id=19&id=1402&pg=1&wd=&SelY=0&SelM=0&SelD=0&bkc_id=12&type=new

御船町ホームページより引用:
「平成27年11月16日東京丸ビルホールに於いて、厚生労働省主催による「第4回健康寿命をのばそう!アワード」表彰式が開催され、御船町が介護予防・高齢者生活支援分野、自治体部門で厚生労働省 老健局長 優良賞を受賞しました。
「健康寿命をのばそう!アワード」は生活習慣病の予防・啓発及び地域包括ケアシステムの構築に向け介護予防・高齢者生活支援に関して優れた取組みを行っている企業・団体・自治体を表彰する制度で「母子保健分野」「生活習慣病予防分野」「介護予防・高齢者生活支援分野」の3分野で大臣賞・局長賞を表彰するものです。
介護予防・高齢者生活支援分野、自治体部門では全国で2つの自治体が表彰を受け、御船町はその1つに選ばれたものです。
御船町が受賞した内容は「住民主体の介護予防活動」で、これは住民主体の介護予防の取組みを推進するため、平成15年度から介護予防サポーターの養成を始め、地域の介護予防サポーターや関係者が中心となった「地域サロン」「元気クラブ」の介護予防活動が評価されたものです。
「地域サロン」は85行政区中72行政区(85%)で実施され、「元気クラブ」は10の旧小学校区すべてで実施されています。
御船町の要介護認定率は全国平均よりも低く「住民主体の介護予防活動」が功を奏しています。
この賞は、地域の介護予防サポーター・関係住民が受賞したものです。 」

研究セミナー:栄養疫学におけるエビデンスの構築 ~メタ解析の実際と課題~

ケンブリッジ大学で精力的に研究を進めている今村文昭氏をお呼びして、研究セミナーを開催します。

第2682回集会 (2016.1.12).pdf

第2682回東京医学会集会
場所:東京大学本郷キャンパス医学部教育研究棟2回第1・2セミナー室
主催:東京医学会
共催:保健社会行動学分野/健康教育・社会学分野

栄養疫学におけるエビデンスの構築 ~メタ解析の実際と課題~

演者:今村文昭氏 (Dr Fumiaki Imamura)                          
所属:英国ケンブリッジ大学医学部
Medical Research Council疫学ユニット

近年、栄養疫学の発展が目覚しく、その領域の多くの研究が医学雑誌に報告されている。そしてその成果はGlobal Burden of Disease Projectを含め予防医学の研究や政策に応用されている。その過程においてメタ解析に基づく量的なエビデンスが必須であり、その発展は目覚しい。しかしメタ解析やエビデンスの評価には多くの問題が存在している。この機会では、栄養疫学におけるメタ解析の役割、実例(Imamura et al., BMJ, 2015)と課題について紹介する。

略歴:上智大学理工学部(理学士)、米国コロンビア大学修士(栄養学)、タフツ大学博士課程(栄養疫学)、ハーバード公衆衛生大学院リサーチフェローを経て現職
近年の主な業績:
• Annals of Internal Medicine (2010-2015), BMJ (2015) Best Reviewer
• Imamura F et al. Dietary quality among men and women in 187 countries in 1990 and 2010: a systematic assessment. Lancet Glob Health 2015;3(3):e132-142
• Imamura F et al. Consumption of sugar sweetened beverages, artificially sweetened beverages, and fruit juice and incidence of type 2 diabetes: systematic review, meta-analysis, and estimation of population attributable fraction. BMJ 2015;351:h3576