2025年9月11日、堺市の介護予防事業の一つである「おとなのためのボードゲーム会」に、マイコースプログラムの学生2名(唐木 優さん、廣田 翼さん)が参加しました。唐木さんより、当日の学びや感想を報告します。
【体験記】 堺サンドイッチキャンパスから学ぶ社会参加のデザイン
1. 現場体験から得た気づき:世代を超えた「遊び」の力
私は今回、京都大学大学院医学研究科 社会的インパクト評価学講座での体験として、「堺サンドイッチキャンパス」で開催された「おとなのためのボードゲーム会」(第6回)に参加させていただきました。この教室は、「介護」という言葉を排し、「ボードゲームの楽しさ」を入口に、高齢者の認知機能維持とコミュニケーション促進を目指す、非常に巧みな取り組みでした。
会場は終始笑い声に包まれ、参加者の皆さんが夢中になってゲームに興じる姿が印象的でした。現場で感じたのは、ボードゲームという「活動」が、認知機能の活性化(思考力、集中力)と交流機会の爆発的な増加というアウトカムを、その場で即効性をもって生み出しているという点です。「楽しい」という感情を起点にしているため、活動への抵抗感がなく、継続的な参加の動機付けを可能にしていました。
2. インパクトを最大化する「運営」と「教材」の工夫
現場で特に感銘を受けたのは、自発的な交流と役割の創出を促す運営設計です。
(1) 経験者による「教え合い」で役割を創出
ルールの説明一つをとっても工夫が見られました。グループのメンバー全員がルールを知らない時は講師が説明していましたが、多くの場合、すでに受講を終えた「修了者」が各グループに配置され、その方が説明役を務めてくださっていました。この「教える人」「教えられる人」の関係が生まれることで、参加者の自己有用感が高まり、教室に積極的に関わる動機付けになっていました。
(2) 交流を誘発する「程よい難易度」のゲーム選定
選ばれているゲームは、難しすぎず、程よく頭を使うものや、勝ち負けが均等に分かれやすいものが中心でした。特に複雑な戦略よりも、「笑い」や「声かけ」が自然発生する協力型やパーティーゲームが多く、参加者がゲームを通じて自然に打ち解けられるように設計されていました。
3. 社会的インパクト評価の視点:地域活動への「出口」設計
私が行った回は最終回でしたが、この教室の真価は、プログラム終了後の継続まで設計されている点にありました。
今回参加した人は全員「修了証を渡して表彰」され、次回以降は「サポート役」として参加できる仕組みになっていました。さらに、次の活動の場として、民間のカフェでの定期的なボードゲーム会が用意されており、教室で得た「つながり」を地域社会にスムーズに移行・定着させることを目的としていました。最終的に、この継続的な活動が健康寿命の延伸やウェルビーイング向上というインパクトに繋がっていくのだと確信しました。
4. 体験を終えて
今回の経験は、私たちが理論として学ぶロジックモデルや社会的インパクトが、現場の地道で細やかな運営の工夫、そして「遊び」という純粋な意欲を最大限に活用する仕組みによって、いかに大きく左右されるかを教えてくれました。
京都大学医学部医学科4回生 唐木優


