【ニュース】池田市「木工ハンドメイド教室」に参加しました(マイコース 唐木さん)

2025年9月10日、池田市の介護予防事業の一つである「木工ハンドメイド教室」に、マイコースプログラムの学生1名(唐木 優さん)が参加しました。
当日の学びや感想を報告します。

【体験記】「木工ハンドメイド教室」に見る社会的インパクトと運営の工夫

1. 現場体験から得た気づき:社会参加を促す精緻な工夫
私は今回、京都大学大学院医学研究科 社会的インパクト評価学講座での体験として、池田市の介護予防事業「いつもyobouいけだ」の「木工ハンドメイド教室」に参加させていただきました。単なる趣味の教室ではなく、社会的なつながりと卒業後の継続まで見据えた精緻な運営の工夫がされているのを肌で感じました。

(1) 「介護」を言わない、健康無関心層を取り込む設計
この教室が最も巧みだと感じたのは、「木工」を前面に出し、「介護予防」という言葉を極力使わない点です。これにより、「介護」や「健康」に関心がない層でも、「何かを作ってみたい」「新しい趣味を見つけたい」という純粋な動機で参加しやすくなっていました。「楽しさ」を入口にすることで、予防活動への抵抗感をなくし、幅広い高齢者を取り込む工夫だと感銘を受けました。

(2) 計算されたグループ編成と会話のデザイン
会場では、参加者が小グループに分かれていました。このグループ分けが絶妙で、前年度の修了者や、話すのが得意な方と苦手な方が均等に割り振られていました。さらに、いきなり作業を始めるのではなく、最初の15分で「前回作ったものをどう使っているか」といった共通のテーマが与えられ、会話が自然に生まれるよう促されていました。この「話したくなる」設計こそが、高齢者の孤立を防ぎ、居場所をつくる第一歩だと感じました。

(3) 「教え・教えられる」関係を育む難易度設定と運営
工作の難易度も巧みでした。高度な技術や力が必要な工程は事前に講師が済ませており、一方で、あえて少し難しくてつまずく箇所を残していました。これにより、参加者同士が自然に教え合ったり、助け合ったりする状況が生まれていました。スタッフは安易に介入せず、参加者同士の解決を見守り、お客さん扱いしないよう片付けも自分たちで行う工夫も見られました。この「役割を持てる」環境が、参加者の自己肯定感を強く高めていると感じました。

2. インパクトを生む「出口」の設計:木工は手段で継続こそが目的
この教室の最も重要な点は、「木工は目的ではなく、あくまで介護予防の手段である」という思想が徹底されていたことです。

全6回の工程が終了しても、参加者が元の孤立した生活に戻らないよう、「継続」を軸とした仕掛けが用意されていました。時間内に形にはなるものの、装飾などの「余白」を残すことで、参加後も自分なりの形にする意欲を保たせていました。さらに、今回参加した人は次回以降は「お手伝い役」として参加できるようにすることで、地域活動への移行を促していました。

3. 体験を終えて
今回の経験は、私たちが理論として学ぶロジックモデルや社会的インパクトが、現場の地道で細やかな運営の工夫によって、いかに大きく左右されるかを教えてくれました。活動単体の効果だけでなく、「いかに継続させるか」までを設計に組み込むことが、真の社会課題解決につながると痛感しました。

京都大学医学部医学科4回生 唐木優