プレスリリース:地域活動が盛んなまちに住むと野菜・果物の摂取が増加(西尾)

大学院生の西尾麻里沙がプレスリリースを発表しました。
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概要

通いの場や趣味の会など、様々な住民の活動を後押しすることで高齢者の健康を支援する動きが広がっています。活動が豊かなまちに住むと、栄養摂取や身体活動など、健康行動が改善する可能性を示すデータもあります。しかし、そのようなまちに住むと実際に活動への参加が増えることで、健康行動が改善するのかは検証されたことがありませんでした。また、孤立や貧困といった生活上の困難があると、日々の食へ配慮するゆとりがなくなり、栄養摂取のバランスが偏りがちになりますが、そのような人々への効果も知られていません。

本研究では、65歳以上の約25,000名を対象に、3年ごとに3回繰り返して調査した9年間の追跡研究のデータを分析した結果、初回調査時に地域活動が盛んな地域に住んでいた人は、その後3年の間に自分自身も地域活動へ参加するようになる傾向があり、そのような人はさらにその後の3年間で野菜・果物摂取頻度が高くなる、という時間を追った関係性が確認されました。加えて、この効果は一人暮らしの人の方でより強いことがわかりました。特に一人暮らしの男性は、自分自身が地域活動に参加することで、野菜・果物を摂取する人が13.5%増加するという結果が得られました。反対に、活動が盛んな地域にいるのに地域活動に参加しない一人暮らしの男性は、むしろ果物・野菜摂取頻度低くなることも示されました。これらの結果から、地域活動の活発さが栄養摂取行動に与える効果のメカニズムの一つに、実際に地域活動に参加するか否かが関係していることが示唆されました。

一人暮らしの人には、そのような地域づくりが特に効果的である可能性がある一方、独居男性に関しては、自身は参加しない人では望ましくない効果も示唆されることから、地域の活動を促すような支援の際には、恩恵が届きにくい人への配慮が必要と考えられます。

論文

Nishio M, Takagi D, Shinozaki T, Kondo N. Community social networks, individual social participation and dietary behavior among older Japanese adults: Examining mediation using nonlinear structural equation models for three-wave longitudinal data. Prev Med. 2021 Aug;149:106613. doi: 10.1016/j.ypmed.2021.106613. Epub 2021 May 11. Erratum in: Prev Med. 2021 Dec;153:106750. PMID: 33989675.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33989675/