論文出版:高齢者の健康・ウェルビーイングと 地域の豊かなつながりとの関連を総合的に評価 ~市民参加の高い地域で社会参加は約3~10%増加、 地域への信頼や規範が高い地域で要介護リスクは約6%減少~(研究協力員 武田)

大阪大学キャンパスライフ健康支援・相談センター 武田将さん(当研究室 研究協力員/卒業)と長谷田真帆講師、近藤尚己教授らによる論文が、Health & Placeから出版されました。

地域の豊かなつながり(ソーシャルキャピタル)が高齢者の健康やウェルビーイングを促進することが数多く報告されていますが、悪い影響についても指摘されています。地域のソーシャルキャピタルの影響は広く影響があることが考えられますが、これまで健康やウェルビーイングについて総合的に評価されてきませんでした。

本研究は全国の高齢者34,183人(一部47,227人)を2016年から3年間追跡し、地域のソーシャルキャピタルと健康やウェルビーイング(41指標)との関連を調べました。結果、ソーシャルキャピタルが豊かな地域に住む人は、2019年の地域組織(趣味・教養サークル等)への参加が約3~10%増え、死亡や要介護状態へ移行するリスクが減少していました。一方で、ソーシャルキャピタルが豊かな地域に住む人で、ボランティアへ参加する割合が減少していました。地域の豊かなつながりは高齢者の健康を促進する可能性がありますが、今回の研究で関連しなかった、あるいは負の影響があった側面を含め、高齢者のウェルビーイングを促進するためには、豊かなつながり作りだけでなく、その他の社会環境整備も併せて行うことが必要かもしれません。

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