論文出版:因果推論の枠組みに最先端の機械学習モデルを応用し、冠動脈石灰化による心血管イベント発症リスク上昇度が個人ごとに異なることを公表(助教 井上)

京都大学大学院社会健康医学系専攻のホームページより引用

社会疫学分野 井上浩輔助教とUCLAの研究グループは、因果推論の枠組みに最先端の機械学習モデルを応用することで、冠動脈石灰化による心血管イベント発症リスク上昇度が個人ごとに異なることを明らかにし、その結果をCirculationに公表しました。

井上らの研究グループはMulti-Ethnic Study of Atherosclerosisという米国の多民族縦断コホート研究のデータに、傾向スコアマッチングと機械学習によるCausal forestアルゴリズムを用いて冠動脈石灰化(CAC>0)とCVD発症リスクの関連に異質性(ばらつき)があることを見出しました。冠動脈石灰化があることでCVDリスクの上昇が大きい人は、必ずしも絶対的な10年ASCVDリスクが高い人ではなく、ASCVDリスクが低い人の中でも7割近くが冠動脈石灰化による高いCVDリスク上昇を認めました。本結果から、冠動脈CTのような有限な資源を最も効果的に配分するためには、アウトカムリスクだけでなく、個人レベルでの曝露と結果の関連性(または治療効果)を考慮することが、真の個別化医療の実現において重要であることが示唆されました。本成果は、2022年11月5日にシカゴで開催されたAmerican Heart Association Scientific SessionのEarly Career Award Competitionで発表されました。

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