NHK NEWSWEBで報道:育児休暇が取れないと子どものワクチン接種がおろそかに

2014年9月5日金曜日のNHK NEWSWEBで、研究結果が報道されました。

日本では、生後2歳までに政府が接種を強く推奨し、無料で受けられるワクチンが14種類ありますが、すべてを完了できていない子どもがいます。

所属講座の主任である東京大学大学院橋本英樹教授を中心とするメンバーで実施した、東京近郊の子どものいる世帯を対象とした追跡研究のデータを用いて、ワクチンの接種状況、および摂取状況と関連する世帯の状況との関係を統計的に検証しました。

その結果、生後36か月までに終了できていないワクチンがある子どもが、BCGで1.3%、ポリオが5.8%、ジフテリア、百日ぜき、破傷風の混合ワクチンが22.9%。いることがわかりました。

また、両親の就業状況都の関連について検討したところ、専業主婦など母親が働いていない世帯の子どもにくらべて、産後育児休暇をとらずに働きはじめた母親の場合、ワクチン接種を予定通りで来ていない世帯が、世帯の経済状況やお母さんの学歴、子どもの出生順などとは無関係に、2.9倍も多いことがわかりました。父親の就労状況などとの関連はあまり見られませんでした。現状では、子育ての中心がお母さんにあることから、このような関係がみられたのだと思います。

番組では、今後子どもを持つ場合の条件として、働きながら子育てできる職場環境が必要と答えた人が62%もいるという少子化社会対策白書のデータが紹介されました。

番組では、私のコメントとして「育児休暇が取りにくい職場環境が影響している。仕事と家庭のバランスに苦しむ母親への支援や、環境整備が重要」との言葉が紹介されました。

一方で、番組中のツイートの中には「日本には母子家庭しかないわけじゃなかろうに、父親はなにやってんだよ? なんで母親だけの責任になってんの? @yuki_bateauivre」という興味深いものがありました。これは要な指摘だと思います。

今後、ワクチン接種や乳幼児健診などを含め、子育てに責任を持つ父親が増えれば、父親、母親にかかわらず、育児休暇を積極的にとりやすいような職場の雰囲気や環境整備、国の制度のアレンジなどが、子どもが適切な保健サービスを受けるためにも重要になってくると思われます。

関連する論文は、特任研究員の上田路子を筆頭とした学術論文としてPreventive Medicine誌に掲載されています。

http://www3.nhk.or.jp/news/newsweb/

関連するウェブ上の記事:http://e.jcc.jp/news/8713277/