RISTEX SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム

地域とつくる『どこでもドア』型ハイブリッド・ケアネットワーク

本プロジェクトは、RISTEX(国立研究開発法人科学技術振興機構 社会技術研究開発センター)の「SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム:社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築」プロジェクトの一つとして、2021年に採択されました。

子どもや若者のウェルビーイングの低さと社会的孤立・孤独から社会的排除に至るケースが顕在化しています。子ども・若者の社会的排除の要因として、生まれつきの障害などの個人特性、家庭環境の問題、学校・職場の環境の問題が挙げられています。また、社会的排除に至るプロセスとして、「人に理解されない」場面を繰り返すことでトラブルを起こしてさらに人から疎外されていくループ、自己肯定感を育てられずひきこもっていくループ、複雑な課題を家族全体で抱え込み社会から隔絶してしまうパターンであることが私たちの報告からわかっています。

プロジェクトで達成する目標・実施内容

  1. 社会的孤立・孤独メカニズム理解と、社会的孤立・孤独を生まない新たな社会像の描出
    生活保護受給者のデータと新型コロナウイルス感染症の社会的影響に関するインターネット調査(JACSIS)のデータの計量分析、名古屋市子ども・若者総合相談センターとKYOTO SCOPE(京都市内の女性支援者ネットワーク)の事例分析により、社会的孤立・孤独に至るプロセスや支援の社会資源の理解を進めます。
  2. 人や集団が社会的孤立・孤独に陥るリスクの可視化と評価手法(指標等)の開発
    生活保護受給者のデータを使い機械学習の手法により支援対象者の特徴をタイプ分けします。タイプごとの社会的孤立・孤独関連アウトカムの評価を行い、支援の優先順位付けやタイプごとの効果的な支援策の開発に活用します。
  3. 社会的孤立・孤独を予防する社会的仕組み
    全国の福祉事務所、京都・名古屋それぞれが関係しているフィールドで「どこでもドア」モデルを構築します。福祉事務所では各タイプに応じた支援プランをマッチングし支援者に提示します。支援プランを全国の主要団体と構築する「社会資源マップ」と連動させ、本プロジェクト終了後も全国に普及可能なモデルを目指します。

多様な参画・協力機関とともに、どの支援の入り口からでも支援者につながり包摂される場「どこでもドア」モデルの構築を目指し、開発に取り組んでいます。

参画・協力機関

京都大学、慶應義塾大学、東京工業大学、大阪国際がんセンター、大阪医科薬科大学、東京医科歯科大学、太成学院大学、奈良学園大学、大阪行岡医療大学、日本ファンドレイジング協会、草の根ささえあいプロジェクト、起業支援ネット、KYOTO SCOPE、名古屋市子ども・若者総合相談センター、北日本コンピューターサービス株式会社 など

ニュース

名古屋市子ども・若者総合相談センターを訪問(2023年10月11日)
どこでもドアプロジェクト全体会議を京都大学で開催(2023年10月10日)
ステージゲート評価を通過し、本格研究開発期間支援対象のプロジェクトに決定しました(2023年3月31日)
2021年度 RISTEX「SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム(社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築)」新規採択プロジェクトに選ばれました(2021年11月1日)

業績

2023年

(1) Murayama H, Suda T, Nakamoto I, Shinozaki T, Tabuchi T. Changes in social isolation and loneliness prevalence during the COVID-19 pandemic in Japan: The JACSIS 2020-2021 study. Front Public Health. 2023;11:1094340.
doi: 10.3389/fpubh.2023.1094340.

(2) Koga T, Okubo R, Chen C, Hagiwara K, Mizumoto T, Nakagawa S, Tabuchi T. Associations of parent-child exercise with family relations and parental mental health during the COVID-19 pandemic. J Affect Disord. 2023;324:551-558.
doi: 10.1016/j.jad.2023.01.001.

(3) Arakawa Y, Inoue K, NishiokaD, Nakagomi A, Tabuchi T, Kondo N. Remote communication and loneliness during the COVID-19 pandemic: Cross-sectional study. J Med Internet Res 2023;25:e45338.
doi: 10.2196/45338

(4) Ueno K, Nishioka D, Saito J, Kino S, Kondo N. Identifying meaningful subpopulation segments among older public assistance recipients: A mixed methods study to develop tailor-made health and welfare interventions. Int J Equity Health: 2023;22:146.
doi: 10.1186/s12939-023-01959-7

(5) Matsushima, M., Yamada, H., Kondo, N. et al. Married women’s decision to delay childbearing, and loneliness, severe psychological distress, and suicidal ideation under crisis: online survey data analysis from 2020 to 2021. BMC Public Health:2023;23:1642.
doi: 10.1186/s12889-023-16476-z

2022年

(1) Wakabayashi M, Sugiyama Y, Takada M, Kinjo A, Iso H, Tabuchi T. Loneliness and increased hazardous alcohol use: Data from a nationwide internet survey with 1-year follow-up. Int J Environ Res Public Health. 2022;19:12086.
doi: 10.3390/ijerph191912086.

(2) Taniguchi Y, Miyawaki A, Tsugawa Y, Murayama H, Tamiya N, Tabuchi T.Family c caregiving and changes in mental health status in Japan during the COVID-19 pandemic. Arch Gerontol Geriatr. 2022;98:104531.
doi: 10.1016/j.archger.2021.104531.

報告書

関連リンク

関連する外部のプロジェクト