生活習慣及び社会生活等が健康寿命に及ぼす影響の解析とその改善効果についての研究

本プロジェクトは、厚生労働科学研究費補助金を受け、疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業のひとつとして令和1年度に採択されました。

健康の推進には、健康寿命の延伸とその格差の縮小が重要です。これらの目標を達成するためには、健康寿命延伸に資する個人の要因(生活習慣・医療・介護サー ビス利用状況・社会経済状況・社会 活動参加等)に加え、社会環境要因(ソーシャル キャピタルなどの社会資源や、歩道や公園などの物理環境、公的支援などのサービス等)の役割を明らかにする必要があります。
これまで、全国約20万人規模の縦断データ(日本老年 学的評価研究:JAGES)を含む、様々な大規模データを用いて関連する研究が実施されてきました。しかし、二次医療圏・市町村・包括圏域など、行政単位での検討は十分ではありませんでした。また、こうした行政単位を含む小地域で的確に健康寿命を算出する方法についても検討が必要でした。

こうした背景を受け、本プロジェクトでは、都道府県単位よりも細かい市区町村と二次医療圏の小地域単位で健康寿命を算出する方法を開発しました。加えて、小地域単位の健康寿命に関連する要因として、失業率、ソーシャル・キャピタル、農村度といった社会環境要因があることを明らかにしました(図1)。これにより、国や自治体政府が取り組むべき効果的で公正な社会環境整備推進施策とその評価方法を、健康日本21(第三次)の目標項目として提案するに至りました。

図1 研究計画の概要

健康日本21(第二次)の総合的評価と次期健康づくり運動に向けた研究

本プロジェクトは、厚生労働科学研究費補助金を受け、疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業のひとつとして令和1年度に採択されました。本研究室の近藤尚己教授は、研究分担者として参画しました。

国民の健康を推進するための全国的な運動のひとつに、健康日本21(第二次)があります。健康日本21(第二次)は、平成25(2013)年度から令和4(2022)年度までを運動期間とし、5つの⽅向性に基づいた⽬標53項⽬が設定されました(図2)。

図2 健康日本21(第二次)の概念図

本プロジェクトでは、健康日本21(第二次)の進捗状況を評価し、各指標の格差の要因と健康寿命の延伸可能性を検討したうえで、次期国民健康づくり運動策定に向けての提言を行いました。近藤教授は、健康日本21(第二次)の各指標のうち、主に身体活動と慢性疾患(がん・循環器疾患)の進捗状況を評価し、各指標の地域間格差の要因を分析しました。それらを踏まえ、次期健康づくり運動に対し、社会環境整備に関する目標項目を提案しました。

業績・報告書